NO.4 皮肉なユーモア

NO.4 ヴェロニカ・ゲンシツカ

ヴェロニカ・ゲンシツカは、インターネットや警察の記録資料、あるいはプレスの保存資料から見つけたアーカイヴ写真に、デジタル加工を施したものを基に作品を制作している。
これらのアーカイブ写真を使う理由について、ゲンシツカはこう語る。「(この時代の)アメリカの家族写真は、あまりにも典型的すぎて不自然さを感じます。その裏には一体どのような意図があるのか、という疑問が制作の背景にあるのです」。ゲンシツカはそうした不自然さを逆手に取り、自らの手を加えることで写真に新しい歴史を加え、再構築しているのだ。

引用元:京都で写真の「VIBE」を感じる。 7回目となる「KYOTOGRAPHIE」が開幕

一見なんの変哲もない家族写真なのだが、よく見るとどの写真も加工されていることがわかる。皮肉とウィットに富んだ加工を施された作品達だ。

この写真は、父親を出迎える子供達と腕を広げて待つ父親との間に、ふか〜い、くら〜い淵がある。めったに帰っては来ない父親に対する、目に見えないが確実にある昏い淵のような距離感。非常にわかりやすくて軽快なユーモアだ。

他にもたくさんあるが、どれもトリックアートのようで面白かった。一部撮ってきた作品を載せておく。真ん中の写真では、女の子の腕が蛇になってボーイフレンドに絡みついている。嫉妬深さを皮肉っているのだろう。爽やかな笑顔とのギャップがシュールでお気に入りだ。元の写真では男の子も爽やかに微笑んでいたのだろうと考えると、さらにおもしろい。

会場:嶋薹ギャラリー